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株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

2019年に香港に「DON DON DONKI」を初出店したパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスグループ。1号店で大成功を収め、5か月後に2号店、そしてその7か月後に3号店をオープン。デモや新型コロナウィルスの影響をものともせず、店舗は連日香港人で賑わい、記録的な売り上げを叩き出している。香港に上陸し成功するまでの経緯とその秘訣について、Pan Pacific Retail Management (香港) 代表取締役社長 竹内三善氏に聞いた。

新業態DON DON DONKIでアジアへ進出

同社は、日本で550店舗以上のドン・キホーテの他に、MEGAドン・キホーテ、アピタ、ピアゴやユニーとドン・キホーテのダブルネーム店舗といった様々な小売業態を運営する総合小売企業だ。海外事業は2000年代後半にアメリカで開始し、アジア展開については2017年より新業態DON DON DONKIで市場参入を果たした。現時点で、シンガポール7店舗、タイ2店舗、香港3店舗をオープンし、スピーディーな多店舗展開を進めている。

DON DON DONKIは、日本製もしくは日本市場向けの商品を低価格で提供する「ジャパンブランド・スペシャリティストア」だ。「日本製にとことんこだわる。より純度の高い日本商品を置く。『ピュアなJAPAN』を極めていく。これが私たちのアイデンティティです」と竹内氏は語る。

香港1号店と2号店、異なる特性のあるエリアにオープン

オープン前より、DON DON DONKIの上陸は香港人の間で大きな話題となっていた。満を持して、1号店を香港随一の繁華街かつオフィス街でもある尖沙咀(チムサーチョイ)にオープン。オープン当日より連日店舗の外には行列が発生し、現在も人が絶えない。

1号店は、アジアで先行したシンガポールやタイと同様に生鮮・加工食品を中心としつつも、多様なニーズに応えるため化粧品やバラエティ雑貨も含めた品揃えとした。同社ならではのアミューズメント性あふれる空間演出を行い、買い物の楽しさを体現できる店舗作りを行った。その結果、近隣含むオフィス勤務の人々に人気を博した。

1号店で大きな成功を収めた同社は、その年のうちにレジデンシャルエリアである荃湾(ツェンワン)に2号店をオープン。2号店は、1号店の2倍の規模の2万7,000平方フィート(約2,500平方メートル)を超える売場面積を持つ大規模店だ。生鮮・加工食品から家庭用品、化粧品、玩具、ペット用品など1万5,000品目以上の商品を揃え、様々なメニューを楽しめるフードコートまでも備えている。ジャパンブランドの食や商品を気軽にかつ存分に楽しめ、近隣住民が普段使いする地域密着型の店舗作りに励み、周辺に住む家族が連日訪れる店舗となった。

「香港の消費者の皆さまからは非常に好意的な反応があり、たくさんの支持をいただいています。確かな手ごたえを感じています」と竹内氏は述べる。

ドン・キホーテが世界で展開する店舗のうち、トップレベルの売上高を記録した店が香港に 

香港の店舗については、日本を含め全世界の店舗の中でもトップクラスの売上実績があり、香港の域内小売市場の力強い購買力が表れている。和牛、マグロ、サーモンや旬の果物といった生鮮食品の売れ行きが良いのはある程度は予想の範囲内であったが、2号店を展開してよく分かったのは、香港では日用消耗品、化粧品や生活雑貨も非常に人気があるということだ。

同社は最近、3号店を銅鑼湾(トンローワン)にオープンした。香港島の複合商業施設や高級ブランド店が多く立ち並び、トレンドに敏感な若い世代で賑わう施設繁華街である。同店では、日本の生鮮食品を中心した食品を豊富に取り揃えるほか、日用消耗品、化粧品や生活雑貨などの品揃えも強化している。新しい試みとしては、スキンケア用品やお菓子といった実需性の高いアイテムの価格均一コーナーをスタート。価格均一によりお買い得感がありながら、随時取扱商品を変えることで来店の度に新しい・面白い商品を発見できる楽しさを演出している。また、日本産フルーツの詰め合わせや人気の北海道土産などDON DON DONKIならではのアイテムを集めた贈答品や手土産のギフトコーナーも展開し、ちょっと贅沢で特別なニーズにも対応している。このように、出店エリアのニーズに応じた店舗作りを非常に大事にしている。

香港人スタッフは優秀

DON DON DONKIは香港で多くのスタッフを雇用しており、そのほとんどが現地採用である。採用に関しては同社の採用担当が様々なイベントを実施し、マガジンや人材ホームページを活用して採用活動を行っている。

香港のスタッフの特徴として、「残業をしない、有給を定期的に利用するといったワーク・ライフ・バランスに優れている」といった点が挙げられる。さらに、「しっかりとした労働倫理や、さまざまな事柄に対し、自らイニシアチブを発揮して素晴らしい結果を生む積極性がある点」を竹内氏は評価している。これは、香港やその近隣地域での新規出店や新しいタイプのビジネス立ち上げの際に大きな強みとなる。

香港1号店オープン時に直面した困難

海外に出店するといった部分においては様々な困難があった。まず、新しくゼロから人を採用しなければならなかったが、この点に関しては同社の採用担当メンバーの多大な努力により十分な人員と人材を確保できた。また、幅広い品揃えの確保においても苦労はあった。DON DON DONKIには数多くの商品がある。個々の商品について、物流、商流、ライセンス、香港特有の商習慣や法律等を一つずつ検証し、香港の店舗での販売実現に向け一つずつ解決策を見出し、困難を乗り越えてきた。

デモおよび新型コロナウィルス流行の影響と今後の対策

DON DON DONKIの香港での1号店オープンとその後の店舗展開は、香港でのデモと新型コロナウィルス流行の時期とあいにく重なった。その厳しい環境の中での進出、事業展開について、そして今後の対策について、竹内氏は次のように語る。「この先、どのようなことが起きるか未来を予測することは出来ないが、この一年を振り返り、一つ一つのことに丁寧に対応し続けていくことによって、最終的に何とか乗り越えてきました。今後、様々な課題が生じてもその都度、香港のスタッフおよび日本のスタッフで知恵を出し合って、一つ一つ確実に解決していくことしか解決策はないのではないかと考えます。」

また、同氏は将来の事業についても、「香港に限らず、小売業に関わらず、我々を取り巻く環境は世界情勢や新しい技術、新しい価値観等、良くも悪くも常に変化しています。我々はそれに対し、日々変化し、対応し続けていくということが一番大事。また、過去に成功したようなやり方や方法論を用いても新しい世界では通用しないかもしれません。過去に縛られてしまうと成功の機会を失ってしまうのではないかと感じています」と語る。

ローカリゼーションが困難の克服手段および成功への鍵

竹内氏は同社の困難を成功に変える力について、次のように説明する。「ローカリゼーションが私たちの成功への鍵です。こちらには日本人スタッフもいますが、当社の経営スタイルは、現地従業員に全面的に権限を与え、重要な意思決定、店舗のコンセプトづくりや店舗管理を彼らが主導できるようにすることです。当社が権限委譲と呼んでいるもので、現場の人たちに権限を与えるのです。これが当社の成功の秘訣だと考えています。」

香港は海外展開のための優れた拠点 

DON DON DONKIが香港で事業展開をした理由には、強い地元の需要以外の要素がある。香港は関税ゼロの自由貿易港であるため物流のハブとして最適な場所で、日本食品の世界最大の輸入者となっている。また、「香港の人たちは日本製品について非常に多くの知識を持っています。つまり、香港は日本の生産者や製造者にとって希望の光となるでしょう」と竹内氏は語る。日本から新しいビジネスを世界で展開する際に、香港でテストマーケティングやビジネスモデルの確立をすることが、その後の各国での成功に繋がると同氏は考える。

これから香港への進出を検討中の日本企業へのアドバイス

最後に、竹内氏は次のように締め括った。「日本から来るということは日本代表ということです。共に、日本代表として日本の様々な文化、価値観、商品を広げ、どんどん日本の良いところを伝えていければと感じています。また、我々は一小売業者ではありますが、日本の生産者の方々が海外で商品を販売する際にお役に立てれば幸いです。」

24.08.2020

Fast Facts

  • PPIHグループ全体で、600店舗以上運営している。「DON DON DONKI」は、タイ、シンガポール、香港で12店舗展開
  • 香港では2019年に「DON DON DONKI」を2店舗オープン、2020年7月に第3号店をオープン

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